群馬県 片品村
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小暮真望 シルクスクリーン版画 (尾瀬の郷親善大使)風光
1 「風光」
版画家・小暮真望(こぐれしんぼう)は、瀬戸内海、尾瀬や上高地をはじめとした日本各地の風景を愛し、繊細な版画表現によって貴重な自然美を人々に伝えてきました。
葉ずれの音が聞こえそうな繊細な筆致と躍動感あふれる大胆な構図、そして艶やかに彩る空気感の表現は、多くの人々に感動を与え、国内だけでなく欧州を中心とした海外でも高い評価を得ています。
登山家・深田久弥の随筆に感銘を受けて、小暮真望が独自に選んだ日本百名山シリーズの制作は版画家としてのライフワークとなり、さらには、丹頂鶴の連作、世界の名峰、北海道の大地や瀬戸内の海などその表現の対象は多岐にわたり、自然美への飽くなき探求を続けてきました。
小暮真望のシルクスクリーン版画の世界には、だれもが心に抱く「ふるさとの風景」があります。
略歴
1948年 群馬県館林市生まれ
1966年 県立館林高等学校卒業
1972年 明治大学大学院工学部修士課程卒業
(株)本田技術研究所に入社
CVCCエンジンの研究開発に従事以後10年間勤めその間、
初代CITY車のエンジン開発の責任者として又、
軽自動車の総合責任者として、数々の車を世に送り出す
1980年 シルクスクリーン版画技法の工学的到達点に立ち、自然の美をテーマに版画活動に入る
1982年 (株)本田技術研究所を退社 「セリグラフ美術研究所」を設立する
84・86年 [受賞]日本版画会展 新人賞・東京都知事賞・会友賞
94~95年 [受賞]日本版画会展 馬渕賞
1999年 [受賞]日本版画会展 第40回記念会員賞
00~01年 [受賞]日本版画会展 日本版画会賞受賞・文部科学大臣奨励賞
2002年 [受賞]オーストリア新世紀宮廷芸術祭 国会議事堂総長賞
2012年 [就任]日本版画会会長
2017年 [就任]日本版画会名誉会長
2019年 [招待出品]日本・ギリシャ現代版画展
現在 日本版画会 名誉会長
「尾瀬の郷」 親善大使
「館林市」 ふるさと大使
作品ができるまで
小暮真望が取材に出向き原画を制作する過程から、版におこし作品が完成するまでの様子をスタッフが追いました。

今回は、青森県の奥入瀬渓流の取材に同行しました。
出発地の埼玉県から車で約8時間、東北自動車道をひたすら走りつづけ、十和田湖に到着しました。
まず、奥入瀬渓流の始まりでもある子ノ口に車を置いて、さっそく遊覧船乗り場におられた地元の方に聞き込みを始めました。
先生にとって奥入瀬は何度も訪れている場所ではありますが、現地で実際に話を聞くことは作品を作る上で欠かせない作業の一つだそうです。

聞き込みがひと段落すると、いよいよ奥入瀬渓谷に入っていきます。
車に乗って、子ノ口から奥入瀬川に沿って下っていくと銚子大滝が姿を現しました。
車を停め、写真を撮りつつ構想を練っていきます。

阿修羅の流れ、石ケ戸の瀬、紫明渓なども訪れ、同様に取材を続けます。

取材を終えると、アトリエにて原画作成が始まります。取材で得たイメージや写真を元に原画を作成していきます。

次に行う工程は「版おこし」です。版おこしでは半透明のフィルムを原画に載せ、筆やペンで描き込んでいきます。
それぞれ原画で使用した色を1枚1枚のフィルムに分けていきます。
基本的に1枚の版につき1色しか摺ることができないからです。
この作品では全部で13の版に分解しています。何色何版にするか色を決める過程が苦労を要するそうです。


版おこしが終わると「現像」に移ります。感光性の乳剤を塗った版(スクリーン)に、色ごとに分けたフィルムを密着させて機械を通して焼き付けます。
感光させた後、水洗いで現像します。乳剤が感光しなかった部分は、水洗いすると洗い流されてインクが通るようになります。
乳剤が感光した部分は、光によって固まり版の目が詰まった状態になり、インクが通らなくなります。これで版(スクリーン)の現象の完成です。
次にインクを調合します。
原画を描いた時と同じ色になるように調合を繰り返します。
乾かした時にでる色が原画と合っていなければならないので、調合する都度実際に紙に塗り、乾かして発色を確認して調整していきます。

次はいよいよ摺りの工程です。
完成した版(スクリーン)の下に版画紙を置き、あらかじめ調合したインクを版(スクリーン)の上にのせて、スキージ(へら状の道具)で一気に摺り上げます。
摺り上がった色が思い通りに行かなければ、インクの調合から何度でもやり直し、一切の妥協も許しません。この工程が一番繊細で集中力が必要な作業だそうです。


摺り上がった版画紙は、専用のラックに置いて乾燥させます。
乾燥したら、上からさらに次の版を摺り、再び乾燥。全ての版が摺り終わるまで摺りと乾燥を何十回も繰り返します。
地道な作業ですが、版を重ねる度にいよいよ鮮明に浮かび上がってくる景色は、先生の自然に対する愛と情熱を伝え、見る者に感動をもたらします。
こうした行程を得て片品村ふるさと納税返礼品の「尾瀬の風景」も完成しています。
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片品村について
片品村は、群馬県の北東端に位置し、新潟県、福島県、栃木県の3県に接しています。
尾瀬国立公園をはじめ、澄んだ湖水と原生林の丸沼、菅沼、尾瀬沼、山岳美の上州武尊山、日光白根山、至仏山等々雄大な自然は四季折々の美しさをもち、可憐な植物の宝庫です。
春には、4月下旬から5月上旬に桜が見頃を迎えます。村内で1番有名とも言える桜が花咲針山地区にある「天王桜」です。群馬県の天然記念物にも指定されているオオヤマザクラで、満開時には、ライトアップもされます。また、片品村では、フキノトウやワラビ等の各種山菜も楽しめる時期です。
また夏には、農産物の出荷も最盛期を迎え、高地の寒暖の差を活かした糖度の高い甘く美味しい高原野菜(とまと、とうもろこし、大根等)がたくさん収穫されます。国道120号線の「とうもろこし街道」では、新鮮で香ばしい焼きトウモロコシが販売されます。
秋になると、国道120号線を金精峠に向かう「日本ロマンチック街道」の丸沼が美しい紅葉を見せてくれます。水面を鮮やかに染め、周囲の山々全てが見事な色彩で包まれた様子を見にたくさんの方々が紅葉狩りに訪れます。
冬は、村内5つのスキーエリアがオープンします。標高2,000m級の山々に囲まれているため、雪質は抜群で、小さなお子様から上級者まで楽しむことができます。また、越本地区では、祭りの少ない冬に地域文化の意識を高めようと毎年2月に御神火祭が行われます。観光客の方も楽しめるとても賑やかなお祭りです。
片品村のお水は、尾瀬国立公園や日光国立公園などの2,000m級の山々に囲まれており、その山々へ降った雨や雪は長い時間を経て自然に濾過され、良質な湧水となります。「平成の名水百選」にも選ばれ、観光客の方からも「おいしい」と好評をいただいております。

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