温暖な気候と歴史・文化が織り成す岡山の観光地を巡ったら最高に楽しめた

みなさん、こんにちは。岡山県在住フリーライターの岡本と申します。

さて、各都道府県にはそれぞれ「お国自慢」がありますが、岡山県民がよく口にするのが「災害が少ない」です。

そんな岡山県ですが、今年の西日本豪雨では大変な被害に遭ってしまいました。

僕の住んでいる場所にも大きな川が流れていますが、豪雨の日はそれはもう凄い勢いでした。堤防が決壊することこそなかったものの、濁流が表面張力のように膨らんで、水面のほうが堤防より高くなっていたほどです。堤防の反対側から見えるはずがない川の水が見え、この世の物とは思えない光景でした。

そんな豪雨の影響からか、8月は岡山の観光地から観光客の足が遠のいていたと聞きます。

だいぶ回復しつつあるようですが、そんな中でこの場を借りて岡山の魅力を改めて発信する機会をいただきました。今回は、岡山県下でも特にオススメのスポットが集中する倉敷市(くらしきし)、岡山市(おかやまし)、そして瀬戸内市(せとうちし)をご紹介します。

それぞれの地域の魅力や、その元気な姿を知っていただき、ぜひ岡山に遊びに来ていただければと思います。その際には、ぜひこちらの記事を観光コースづくりの参考にしてください。

 

【目次】
■歴史的な町並みが楽しめる「倉敷市」
江戸時代の街並みが残る倉敷美観地区
江戸時代の町屋建築を残す大橋家住宅
近代産業の発展を感じられる 倉敷アイビースクエア
日本初の私設西洋美術館 大原美術館
歴史を感じる瀟洒な建物で食べる絶品フレンチ The 華紋
絶品のフルーツパフェが食べられる くらしき桃子(カフェ)
文化祭の様なわくわく体験 ももたろうのからくり博物館
瀬戸大橋とジーンズの街「児島」へ

■独自の食文化が根付く「岡山市」
芝生の景色が美しい大名庭園 後楽園&岡山城
豚まんは岡山県民が最も喜ぶ差し入れ 山珍
桃太郎の歴史を感じる吉備津神社
瀬戸内の島に行ったことがなければ「犬島」へ
岡山のグルメ~黄ニラ、えびめし、デミカツ~

■多島美を堪能できる「瀬戸内市」
日本のエーゲ海を一望できる 牛窓オリーブ園&牛窓神社
刀剣好きなら一度は訪れたい 備前長船刀剣博物館
巨大倉庫に並ぶ大量の駄菓子を大人買い 日本一のだがし売り場

温暖な気候と歴史・文化が織り成す岡山の観光地を楽しもう

歴史的な町並みが楽しめる「倉敷市」

歴史的な町並みや独特の文化が根付いている倉敷市。人々もその文化を大切に、そして誇りにしています。

豪雨災害については繰り返し報道された倉敷市ですが、被害の大きかった真備町(まびちょう)をのぞき、多くの観光客が訪れる倉敷駅の周辺や、このあとご紹介する児島エリアはあまり影響がありませんでした。ぜひ遊びに来て、その雰囲気を肌で感じてみてください。

倉敷市で一番人気の観光地といえば、白壁づくりの屋敷が立ち並ぶ「倉敷美観地区」です。江戸・明治時代につくられた邸宅や土蔵が織り成す伝統的な風景を楽しめるだけでなく、世界的名画を鑑賞できる美術館や、ここでしか味わえない絶品フルーツパフェを味わえるお店が軒を連ねる倉敷美観地区。見どころが数多くあり、岡山県の中でも最強の観光地と言っても良いでしょう。
今回は、倉敷の文化がどのようにして育まれてきたか、倉敷美観地区の歴史を少したどりながら巡っていきましょう。

江戸時代の街並みが残る倉敷美観地区

倉敷美観地区にやってきました。最寄り駅である倉敷駅へは、新幹線が止まる新倉敷駅から電車で10分ほどで着きます。倉敷駅からは徒歩5分ほどと、交通の便も抜群です。

江戸時代にタイムスリップしたのかのような街並みが現れました。

倉敷美観地区には「これぞ観光地」といえるような空気があり、歩いているだけで楽しいですし、どこを切り取っても画になる街並みの中、おもしろそうなお店、かわいいお店、おいしそうなお店が軒を連ねています。いつ来てもワクワクします。

ひとたび路地に入れば、江戸時代からこの場所に建ち続けている建物が現れ、人々の積み重ねてきた歴史を感じることができるでしょう。

このように歴史を感じる倉敷美観地区ですが、もともと戦国時代ごろまではこの辺一帯は海でした。徐々に干拓がすすみ、江戸時代になると幕府の直轄地(天領)として栄えます。

倉敷の方言で細い路地のことを「ひやさい」といいますが、ひやさいを探検しながらお気に入りのお店や風景をさがしてみましょう。

江戸時代の町屋建築を残す大橋家住宅

つづいて倉敷美観地区から少し離れた場所にある、江戸時代に建てられた国の重要文化財「大橋家住宅」へやってきました。

大橋家はもともと京都の五条大橋の近くに住んでいたことから大橋を名乗った豪商です。

屋敷の中は、550円で見学可能です。

広いお屋敷のなかには当時を偲ばせる日用品の数々が置かれており、天領として栄えた江戸時代の人々の生活に思いをめぐらせることができます。

残念なことに、このフェンスになっているところにはもともと塀があったそうですが、西日本豪雨で崩れてしまったそうです。しかし、この他の見学は全く問題なくできます。

江戸時代に天領となった倉敷は、米や綿の集散地として、このような立派なお屋敷が建つような商人の街として栄えていきました。

大橋家住宅

開館時間:9:00~17:00
休館日:12月~2月の毎週金曜日、12月28日~1月3日
入館料:大人550円、高齢者(65歳以上)350円、小・中学生350円
※団体(30名以上)450円
住所:岡山県倉敷市阿知3-21-31
電話番号:086-422-0007

近代産業の発展を感じられる 倉敷アイビースクエア

続いては倉敷美観地区の中にあるアイビースクエアをご紹介していきましょう。倉敷らしい歴史的な建物の雰囲気とは、うってかわってモダンな赤レンガ造りの建物があります。

敷地の中ほどに入っていけば、「代官所跡」という石碑を見つけることができます。さきほど倉敷は幕府の直轄地(天領)として栄えたことに触れましたが、その天領を管轄していた代官所があったのがこの場所です。石碑以外にも堀や井戸など当時を偲ぶ遺構が残っています。

しかし、代官所は明治維新の混乱で焼き討ちに遭ってしまいます。そして、米や綿の集散地としての機能を果たしていたものの、それ以外に産業がなかった倉敷の街もまた、明治時代になり急速に衰退していきます。


そんな中、倉敷に新たな産業を興そうと、3人の若者が紡績工場の建設を計画します。

倉敷で代々商売を営み、大地主でもあった大原家の6代目・大原孝四郎氏の援助を受け、小松原慶太郎、木村利太郎、大橋澤三郎という三人の若者らが、この代官所の跡地に倉敷紡績所を建設しました。それがこの倉敷アイビースクエアの建物です。

今は紡績所としては使われていませんが、広場やホテルなどの複合施設としては現役です。

工場だった時にはこの広場にも屋根があったとのこと。石が敷いてあるのは、機械が置かれていた場所だそうです。

江戸時代の街並みの印象が強い倉敷美観地区ですが、このように近代的な産業も発展していきました。

倉敷アイビースクエア

住所:岡山県倉敷市本町7-2
予約・お問い合わせ:086-422-0011

日本初の私設西洋美術館 大原美術館

倉敷美観地区のど真ん中に、唐突にギリシャ風の建物が現れます。倉敷美観地区を訪れる人のほとんどが立ち寄る大原美術館です。

この建物は先ほどの倉敷紡績所を作った大原孝四郎氏の三男で、二代目社長の大原孫三郎(おおはら まごさぶろう)氏が作った、日本初の私設の西洋美術館です。

周囲の景観とはまったく趣が異なる建物ですが、不思議と調和が取れて違和感がありません。

倉敷の人が「こんなに素晴らしい絵画が倉敷にあるのは奇跡」と言ってしまうくらいの誰もが知るモネの睡蓮やピカソの絵など、美術に興味がない僕でも聞いたことがある世界的な名画を鑑賞できます。

特に宗教画である「エル・グレコの受胎告知」は有名で、この作品を見るために大原美術館を訪れる人も多いのだとか。購入額が美術館の建築費用より高かったそうです。

▲ エル・グレコ《受胎告知》大原美術館所蔵

僕は芸術を見る目がありませんが、すごい作品なんだろうなということは分かりました。芸術好きの人にはたまりませんね。

中庭にはモネの庭の池から株分けしてきた睡蓮もあります。

大原美術館は西洋美術ばかりが注目されがちで、現に欧米人が立ち寄るところはほとんど見たことがありませんが、西洋美術以外も充実しています。

ギリシャ風の本館にある西洋美術以外にも分館や東洋館、工芸館などがあり、「なんでも鑑定団」が大好きな人なら何度も名前を聞いた事がある棟方志功など大作家の作品がならびます。訪れたらぜひこちらも鑑賞してみてください。

※このお礼の品は受付を終了しております

大原美術館

入館料(本館/分館/工芸・東洋館):一般 1,300(1,200)円、大学生 800(700)円、高校・中学・小学生 500(300)円
※( )内は20名以上の団体料金
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
定休日:毎週月曜日
住所:岡山県倉敷市中央1-1-15
電話番号:086-422-0005

歴史を感じる瀟洒な建物で食べる絶品フレンチ The 華紋

大原美術館で芸術作品を鑑賞したあとは、再び倉敷美観地区の街並を歩いて行きましょう。結婚式場兼レストランとして営業している「The 華紋」の提灯がかかった建物がみえてきました。

倉敷市へふるさと納税で寄付をすると、お礼の品としてこちらのランチチケットがもらえるのです。

建物の内部はさすが結婚式場としても使われるだけあり、瀟洒な佇まい。美観地区を巡ったあとこんな場所でランチをするなんて、とても贅沢ですね。

メインディッシュは肉と魚とが選べたので、僕は肉にしました。お肉はほんとうに柔らかくて、フォークで「切る」と言うよりフォークで切ろうとすると「ほぐれていく」という感じでした。

うーん美味しい。あまりの美味しさに思わず唸ります。

大原美術館でアートを鑑賞したあと、The 華紋さんでランチを食べれば最高の一日になるはずです。ぜひそんな休日をすごしてみてはいかがでしょうか。

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岡山県倉敷市

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The 華紋

住所:岡山県倉敷市本町8-33
見学予約・お問い合わせ:086-421-7441

絶品のフルーツパフェが食べられる くらしき桃子(カフェ)

くらしき桃子というカフェを紹介しなければなりません。このくらしき桃子はフルーツパフェで大変有名なお店です。

僕は岡山でライターという仕事をしている関係で、倉敷で友人知人を案内したり紹介することもありますが、くらしき桃子を知らないと言った結果、倉敷に住む人から大バッシンングを受けてしまいました。

いわく、「くらしき桃子を知らないなんて考えられない」と。

しかし弁解させてもらうと、僕はあまり好んでパフェなど甘いものを食べたりしません。という事で、今回が初めての訪問となりました。

倉敷本店限定メニューの「ぶどうパフェ」。アイスティーを付けて2,052円。

まずこのパフェで目を惹くのは、色とりどりのブドウがこれでもかというくらい高く積まれているところです。なんと豪華なパフェでしょう。どこからどうやって食べれば良いのかと困ってしまうほど。まるで難攻不落のパフェの砦です。

苦心して食べると驚くのはブドウの甘さとみずみずしさです。そして甘さはとてもすっきりしていました。僕が甘さ対策として頼んだアイスティーはあまり必要ありませんでした。甘ったるさは全くなく、むしろブドウの甘さを引き立てて抜群に美味しかったです。くらしき桃子を知らずに倉敷を語ることなんて考えられないと、考えを改めさせられました。

くらしき桃子 倉敷本店

営業時間:
月~土…10:00~18:00(11月~2月は~17:00)
日・祝…9:00~17:30(11月~2月は~17:00)
定休日:無休
住所:岡山県倉敷市本町4-1
電話番号:086-427-0007

文化祭の様なわくわく体験 桃太郎のからくり博物館

ここまで歴史に、アート、グルメ、ショッピングなど、倉敷美観地区がいかに無敵の観光地であるかをご紹介してきましたが、一点だけ弱点を挙げるとすれば、遊べる場所が少ないことでしょう。

大人な観光地という趣きの美観地区は、遊んだり子供たちが楽しめたりする場所というのは実はあまり多くありません。

そこでオススメしたいのが、この「桃太郎のからくり博物館」です。600円を支払って中に入ります。

ちょっと薄暗い建物内には、

桃太郎の人形が強力な磁石で1cmくらい浮いて静止していたり、

こちらではブドウの画が鏡に映るとバナナになっていたり、

こんなトリックアートのような写真が撮れたりします。

挙げるとキリが無いくらいたくさんの楽しげな展示物が所狭しと並んでいます。例えるなら文化祭の出し物みたいな雰囲気です。

また係りの人が付きっきりで解説してくれるのもポイント。

そして博物館という名前のとおり、桃太郎に関する資料もあります。

この桃太郎のからくり博物館は、大人から子供まで誰でも楽しめるところが良いですね。僕の倉敷に住む友人も行くと意外と楽しいと口を揃えます。倉敷に来たら文化祭のような雰囲気を味わえる桃太郎のからくり博物館で遊んでみてください。

桃太郎のからくり博物館

料金:大人600円、学生(高・中・小)400円、幼児(5歳以上)100円
※障がい者割引有り(幼児は対象外)
開館時間:10:00~17:00
定休日:無休
住所:岡山県倉敷市本町5-11
電話番号:086-423-2008

瀬戸大橋とジーンズの街「児島」へ

倉敷市の観光地はもちろん倉敷美観地区だけではありません。瀬戸内海に面した児島エリアもおすすめです。

児島エリアは、最近では国産ジーンズの発祥の地としても大々的に取り上げられている、いま注目のエリアです。

児島エリアでオススメは、なんと言っても今年30周年を迎える瀬戸大橋です。写真で見る以上にデカくて迫力があるはずです。

遥か彼方に見える四国まで島々を貫く白い瀬戸大橋が視界一杯に広がる光景は、思わず息をのむでしょう。

そして児島は繊維の街としても有名です。さきほど「倉敷美観地区はもともと海だった」と書きましたが、児島もその名前のとおり江戸時代の初期までは独立した島でした。干拓によって本州と陸続きになりましたが、むかし海だった土地というのは塩分を含んでいるために、なかなか作物が育ちません。

そこで作られるようになったのが、塩分に強い綿花でした。そこから繊維業が盛んになり、先ほどの倉敷アイビースクエアにあった倉敷紡績所の建設、ひいては国産ジーンズ発祥の地へとつながっていくのです。

そんな瀬戸大橋と繊維の街、児島へもぜひ足を伸ばしてみてくださいね。

独自の食文化が根付く「岡山市」

つづいては、県庁所在地でもあり、岡山県で一番人口が多い岡山市をご紹介します。

岡山市には独自の食文化が根付き、オススメのグルメもたくさんあります。そして今回は瀬戸内の島の雰囲気も味わってもらいたいので犬島へも足を伸ばしてみました。

芝生の景色が美しい大名庭園 後楽園&岡山城

岡山市の観光地の中でも最も人気なのは、なんと言っても岡山が誇る広大な大名庭園・後楽園です。庭園は目にも鮮やかな芝に覆われ、奥には岡山城を望みます。

首都圏の人だと、後楽園といえば東京ドームの最寄り駅の後楽園をイメージする方も多いかもしれません。しかし岡山で後楽園といえば、日本三名園のひとつ後楽園です。ちなみに東京ドームの後楽園とは無関係のようです。入園料400円を払うと中を見学することができます。

後楽園では、おおよそ芝生と水で表現できる世界の全てが表現されています。

後楽園へは芝生が綺麗な春~秋に来ていただくのがベストですが、それ以外の季節でも綺麗な景色を楽しむことができます。僕もことあるごとに訪れていますが、来るたびに新しい発見がありますよ。

また岡山城も後楽園からほど近くにありますので、ついでに岡山城へ向かってみるのはいかがでしょうか。岡山城は後楽園の南門から出て、川を隔てて南側にあります。(後楽園からは一旦出るかたちになりますが、半券を見せれば再び入園できます)

ちなみに、この後楽園側から望む岡山城が一番かっこよく見えます。

岡山城はその黒い外観から別名「烏城(うじょう)」とも呼ばれています。戦国大名の宇喜多直家が居城として以来、岡山の中心となってきました。

岡山城の天守閣に入るには300円かかりますが、後楽園との共通券だと560円になります。岡山城は後楽園からの距離も近いので、ぜひ寄ってみてください。

後楽園

料金(個人券):高校生以下無料、大人(15~64歳)400円、シニア(65歳~)140円
※岡山城との共通券は560円
開園時間:年中無休
電話番号:086-272-1148
住所:岡山市北区後楽園1-5

豚まんは岡山県民が最も喜ぶ差し入れ 山珍

そして岡山城まで来たならば、岡山城から徒歩で10分ほど足を伸ばした先にある、山珍さんという中華料理屋さんへも訪れてみるのはいかがでしょう。

この山珍さんは「豚まん」が有名で、山珍の豚まんは「岡山県民が最も喜ぶ差し入れ」と言っても過言ではありません。

トロトロに煮た豚肉や、ウズラの玉子が一個丸ごと入っています。ボリュームもあって、豚まん一個でおなか一杯になるほど。

せっかく旅行に来たのであれば、色々なその土地の美味しいものが食べたいと思うはず。「豚まんではちょっとな」と思う方もいらっしゃるかもしれません。ただ、山珍の豚まんは「豚まんの概念を覆す」くらいに美味しいのです。新たな地平を開いた豚まんをぜひぜひ試してみてください。

山珍

営業時間:月~土 10:00~20:00、日 10:00~18:00
住所:岡山県岡山市北区丸の内2丁目12-22
電話番号:086-222-2316

桃太郎の歴史を感じる吉備津神社

続いてご紹介するのは、岡山市の観光地として名前が挙がる吉備津神社です。吉備津神社は後楽園や岡山城がある岡山駅周辺からはちょっと離れた場所にあり、タクシーでは約30分、もしくは吉備線と徒歩で30分ほど掛かる場所にあります。この吉備津神社は、岡山を語るうえでは外せません。

「岡山と言えば桃太郎」といわれますが、実は全く根拠が無い話でもないのです。
この神社に祀られている吉備津彦命(きびつひこのみこと)は、犬飼健命(いぬかいたけるのみこと)、楽々森彦命(ささもりひこのみこと)、留玉臣命(とめたまおみのみこと)とともに、この地方を治めていた温羅(うら)という「鬼」(渡来人だったとも、一説には百済の王子であったとも言われる)を退治したと伝えられています。この物語が桃太郎のモチーフになったと言われています。

吉備津彦命の物語が桃太郎のモチーフになったかどうかはもはや知る由もありません。それはさておき、国宝に指定されているこの本殿と拝殿は写真で見る以上に物凄く迫力があります。

吉備津神社

ご祈祷受付:8:30~16:00
電話番号:086-287-4111(社務所)
住所:岡山県岡山市北区吉備津931

瀬戸内の島に行ったことがなければ「犬島」へ

次にご紹介する犬島も、少し岡山駅周辺からは離れていていますが、瀬戸内地域に来たらぜひ「島」へも行ってみていただきたいと思うのです。島の雰囲気は想像以上に良いのでオススメしています。

瀬戸内海には727個もの島々がありますが、犬島は岡山市唯一の有人離島です。また島の大きさも徒歩で回れるくらいでちょうど良く、「これぞ島だな!」と思ってしまうような島の雰囲気が感じられます。

犬島へ行くにはいくつかルートがありますが、一番近いのは宝伝港から定期船に乗るルートです。

公共交通機関を使って行くと船の待ち時間などがあるので移動は制限されますが、島には島に流れる時間があります。日頃のせわしい日常を忘れ、のんびり船を待つ旅もたまには良いのではないでしょうか(ただし帰りの船の時間には注意してください!)。定期船に乗れば10分ほどと非常に近い島です。

なかなか普通に生活していると電車や車には乗ることはあっても、船に乗る機会は少ないと思います。

船に乗って海へ出れば、せわしく動くものはなにも視界に入りません。のんびりとした島の時間に身をゆだねてみてください。

瀬戸内海といえども意外と広いでしょう?

犬島は瀬戸内国際芸術祭の会場のひとつでもあり、島内にはかつて建っていた民家や古材を利用したアート作品が複数設置されています。
写真は淺井裕介 「太古の声を聴くように、昨日の声を聴く」2013-2016年。石職人の家跡に動植物などの生命力あふれるモチーフを描いた作品です。

また、犬島にはかつて銅の精錬所があり、朽ちて行きつつあるその跡地が独特の雰囲気を作り出しています。

島の原風景とアート、そして遺産が絶妙にマッチして織り成す独特の情緒は、ほんとうに良いものですね。

岡山のグルメ~黄ニラ、えびめし、デミカツ~

さて、旅行の楽しみと言えば「食」という人も多いでしょう。

岡山のイチオシグルメとして今どんどん注目度が高まっているのが「黄ニラ」です。岡山県が全国の生産量のなんと7割を生産しているそうです。

黄ニラのことは良くわからないので、黄ニラ大使として活動されている植田輝義さんのお力をお借りしました。全身黄色の衣装でキャラが立っています。

鉄腕DASHや、海外のタイ国営放送からも取材が来る、超有名な専業農家の方なのです。

黄ニラの育てかたから教えていただいています。

まず、普通のニラを2年かけてしっかり育てて根を張らせ、その後、一度育ったものを刈り取ります。刈り取ったあとに、太陽の光を遮って出てきた新しい芽が黄ニラなのだそう。

そして収穫後、鮮やかな黄色にするために天日に干します。すごく手間が掛かっていますね。

黄ニラ大使は元々兵庫県の出身で、この光景を見てサラリーマンを辞めて黄ニラ農家になろうと決心したそうです。


そもそも僕は黄ニラを最近になって知ったのですが、岡山では少なくとも1872(明治5)年には黄ニラを栽培していた記録があるのだとか。意外と昔から育てられ、岡山の土地に根ざしているものなのですね。

そんな黄ニラ大使のおすすめのお店で黄ニラを食べてみます。

こちらは岡山駅近くの創作日本料理店・西川荘が提供している「黄にら miso ラーメン」です。黄ニラがこれでもかとたくさん入っています。

一口食べるとまず衝撃をうけるのは黄ニラのシャキシャキの食感です。そしてニラの香りがラーメン全体の味を引き立てます。お肉もたくさん入っており、非常に美味しいです。

おみやげ物にも黄ニラを使ったものがたくさんありますので、ぜひ黄ニラを食べてみてくださいね。

※このお礼の品は受付を終了しております

西川荘

営業時間:
昼…11:30~14:30(LO 14:00)
夜…17:30~22:00(LO 21:00)
定休日:不定休
電話番号:050-5594-4758
住所:岡山県岡山市北区田町2-13-27

黄ニラ以外のグルメとしては、デミカツ丼も有名です。

通常、カツ丼といえば玉子でとじてある事が多いですが、岡山でカツ丼と言えばこのデミグラスソースカツ丼、通称デミカツ丼です。

サクサクのカツのうえにほんの少し甘めのデミグラスソースがかかっていて、カツにあうのはもちろん、ご飯にもあいます。


また真っ黒のライスに錦糸玉子が乗った「えびめし」もオススメです。

見た目ほど味は濃くありません。ライスの味はなかなか形容するのは難しいですがスパイシーで、あえて言えばハヤシライスに近い気がします。ライスの中にはプリップリのエビが入っています。

ハヤシライスとピラフを足して二で割った味といえばかなり近いのかなと思います。久しぶりに食べるとやはりこちらも絶品なので、ぜひ岡山に来て実際に召し上がってください。

多島美が堪能できる「瀬戸内市」

最後に瀬戸内市についてもご紹介していきます。瀬戸内市はその名のとおり瀬戸内海に面した市で、海沿いの牛窓の眺望は「日本のエーゲ海」ともいわれています。海沿いに広がるのどかな景色はドライブやツーリングに最適です。これからご紹介するスポットも駐車場が完備されていますし、実際に多くのオートバイがツーリングを楽しんでいました。

キラキラと光るような海や田園の景色の中、風を切って走る体験はすがすがしく日常の嫌な事はすべて忘れさせてくれるでしょう。

また瀬戸内市は、宇喜田直家が岡山城を築くまでは経済の中心として栄え、多くの刀工を生み出した地でもあります。

日本のエーゲ海を一望できる 牛窓オリーブ園&牛窓神社

瀬戸内市でまずやってきたのが牛窓オリーブ園です。

園内にはオリーブの木が植えてあり、全体的に斜面になっています。入口から斜面を登るように園内を散策します。運動不足の僕はそれだけで汗がにじみます。

ふと後ろを振り向いたら驚きました。視界をさえぎるものは何もなく、見渡す限りの海と空の青。島の緑の境界線には、風化した花崗岩のベージュが島々をふちどる様に広がっています。あまりの綺麗な景色に、疲労が一気に吹き飛んでしまいました。

ポコポコと浮かんだ小さな島は手に取れてしまいそう。海からはさわやかな海風が吹きぬけています。

エーゲ海に行ったことはありませんが、きっと本物のエーゲ海もこんな感じなのでしょう。「日本のエーゲ海」と呼ばれているのもうなずけます。パスポートもなしに気軽にエーゲ海気分を味わえるのは最高ですね。

園内には「幸福の鐘」があり、3回鐘を鳴らすと幸せになるのだとか。こんな綺麗な景色を見ながら鐘を鳴らせば、もうロマンチックが止まりません。

またロマンチックが止まらないといえば、牛窓オリーブ園から車で15分のところには牛窓神社もあります。

牛窓神社には縁結びのご利益もあるといわれています。

うっそうとした林のなかに現れる、静謐な雰囲気の神社へも足を伸ばしてみてもよいかもしれません。

牛窓オリーブ園

入園料:無料
定休日:年中無休
電話番号:0869-34-2370
住所:岡山県瀬戸内市牛窓町牛窓412-1

刀剣好きなら一度は訪れたい 備前長船刀剣博物館

つづいてオススメしたいスポットは、備前長船刀剣博物館です。

最近では「刀剣女子」という言葉もあるくらい人気が高い刀剣ですが、この瀬戸内市にも一大産地があり、多くの名刀、名工を輩出しています。

館内では多くの刀剣や、刀剣に関する資料が見学できます。

僕は刀剣に関して完全など素人ですので、よく分かっていませんが目の当たりにすると非常に綺麗でかっこいいです。

凄くバランスが美しいです。

しかしそのかっこよさや美しさの中にも、根本的に刀剣は人を殺傷する道具であるがゆえの妖しい魅力も感じられました。

「もしかするとこれが刀剣の魅力なのかな?」と魅力の一端を感じることができました。刀剣好きの方はもちろん、あまり興味がない方でも見て損は無いと思いますよ。(写真提供:備前長船刀剣博物館)

備前長船刀剣博物館

料金:
個人…一般500円、高大生300円、中学生以下無料
団体(20名以上)…一般400円、高大生250円、中学生以下無料
※65歳以上の方は割引あり。また障がい者の方は無料(付添いの方1名含む)。
※企画内容により料金が異なる場合があります。

開館時間:9:00~17:00(入場は16:30まで)
休館日:毎週月曜日(ただし休日の場合は翌日に振り替え)、祝日の翌日、年末年始(12月28日~1月4日)
※展示替え時は臨時休館いたします。
電話番号:0869-66-7767
住所:岡山県瀬戸内市長船町長船966番地

巨大倉庫に並ぶ大量の駄菓子を大人買い 日本一のだがし売り場

つづいては、最近、特に人気の観光スポットをご紹介。
のどかな田園風景のなかに「日本一のだがし売場」の文字が書かれた巨大な倉庫が現れます。

中に入ると、体育館の何倍もあるような巨大な倉庫がふたつくっ付いたような建物のなかに、所狭しと駄菓子が並んでいます。

駄菓子だけでこの巨大な倉庫が埋まってしまうとは。駄菓子屋で買い物と言うよりは、むしろ探検や冒険に近い感じがします。

お客さんもたくさんいましたが、子供よりはおとなのほうが多かったです。よくよく観察していると、大人の方がテンションが上がっているみたいでした。その気持ちは良くわかります。大人になってみると駄菓子ってめちゃくちゃ安いのです。童心に返りつつも、欲しい駄菓子を好きなだけ買えるのが大人の特権ではないでしょうか。

建物の中になつかしの駄菓子屋さんも再現されていて、とにかくスケールが大きかったです。

日本一のだがし売り場

営業時間:月~土…10:00~17:00、日…9:00~17:00
休業日:年末年始
電話番号:0869-26-6580
住所:岡山県瀬戸内市長船町東須恵1373-5

温暖な気候と歴史・文化が織り成す岡山の観光地を楽しもう

今回の取材で久しぶりに岡山の観光地を巡りましたが、あらためて岡山観光は本当に良いものでした。

「晴れの国おかやま」といわれるほどの温暖な気候は、のんびりとした人々の気質と豊かな歴史・文化を築きました。観光地を巡ると、ところどころでそうした”岡山らしさ”に触れることができるはずです。

山の幸と海の幸を両方楽しむことができるのも岡山の良いところです。個人的にとりわけ素晴らしいと思っているのは、多島美が眼前一杯に広がる瀬戸内海の風景です。牛窓オリーブ園から眺めた風景は、どんなに最新の高性能なディスプレイでも再現できないような、息を呑むような美しさでした。写真や映像で楽しむだけではなく、ぜひ実際に足を運んで”多島美”を味わっていただければと思います。

岡山では西日本豪雨の影響がほとんど見られなくなり、多くの観光地やお店は元気に営業しています。今度のお休みに出かける候補に、ぜひ岡山を加えてみてくださいね。

一方で、まだまだ災害の影響を受けている地域もあります。そうした地域については、ふるさと納税というかたちで応援していただければと思います。