春色に染まる金沢・加賀百万石の歴史町を訪ねる

加賀百万石の城下町として栄えた金沢は、今も当時の趣を残す人気の観光地。北陸新幹線開通以降、首都圏からのアクセスが抜群によくなったことも、金沢が旅行先に選ばれる理由の1つとなっています。春らんまんの金沢には、桜の名所や優美な伝統・文化に触れられるスポットが盛りだくさん。金沢散策を満喫したあとは、室数限定の料亭旅館でくつろぎの時間を過ごしてみてはいかがでしょう。器にまでこだわる会席料理に舌鼓を打ちながら、大人の贅沢を堪能できます。

【宿泊】料亭旅館 浅田屋

極上の料理や調度品が目にも心にも潤いを与える3室の宿

慶応3年(1867)創業の「料亭旅館 浅田屋」は、金沢の風雅を極めた全3室の宿。館内に漂う静ひつな時間と、器にまでこだわった会席料理でのおもてなしが自慢です。金沢駅や兼六園・金沢城公園へのアクセスが良好な立地は、金沢観光の拠点としても便利です。

「料亭旅館」の看板を掲げる宿の真骨頂は、やはり料理。春には専属の釣り師が釣った天然アユが季節の移ろいを感じさせ、夏には能登・舳倉島(へぐらじま)で海女が捕ったアワビの食感に目を見張ります。秋には能登のマツタケの香りに言葉を失い、冬には日本海の荒波にもまれた香箱ガニの甘さに唸り……。北陸の豊富な食材を駆使した伝統の加賀料理を主軸としながらも、新たな調理法や食材も積極的に取り入れています。

天然石の上で焼く酒盗に漬けた旬の魚介類に舌鼓

時節の食材を盛り込んだ会席料理の中でも、石焼き(上写真)は「浅田屋名物料理づくしプラン」で通年提供している定番メニュー。旬の魚介類を酒盗に漬け、熱した天然石の上で軽く炙っていただきましょう。目の前で魚介類が焼ける音、酒盗の焦げる香りが食欲をそそります。また、加賀蒔絵の金沢漆器や九谷焼を筆頭に、骨董品から現代作家の物まで、吟味した器で提供するスタイルは、器も大切な演出だと考えているためです。1品供するたびに、感動と驚きの歓声が上がります。

細やかなサービスが行き届く静寂に包まれた数寄屋造りの客室

全3室の客室は、すべて秋田杉で造ったシンプルな数寄屋造りです。大きな部屋1室に小さな踏み込みと縁側の付いた間取りで、どこか個人宅の客間に通されたかのような感覚を覚え、ゆっくり足を伸ばせます。庭師に2ヵ月ほど金沢に滞在してもらい仕上げてもらったという坪庭も、宿のこだわりポイント。静寂に包まれ、心の赴くままにただただ庭を眺める。そんな贅沢なステイもおすすめです。
「不老の間」(上写真)は、バス・トイレ付きの15畳の客室。1坪ほどの小さな縁側には腰掛けられる椅子とテーブルがあり、バスルームには小さいながらもミストサウナ浴機能が付いています。快適にくつろげるようにと、枕は5種類、浴衣は8サイズを用意する細やかさも。

金沢の風雅をギュッと凝縮した宿で、ひときわ思い出に残る旅を演出してみませんか。

DATA

■料亭旅館 浅田屋(りょうていりょかん あさだや)
電話/076-231-2228(代表)
住所/石川県金沢市十間町23
交通/JR金沢駅から車で約10分。小松空港から車で約40分
料金/浅田屋名物料理づくしプラン・不老の間利用1泊2食付き1室12万9030円~ ※別途宿泊税1名500円
時間/チェックイン14時(最終18時30分)、チェックアウト11時
客室数/3室
駐車場/3台

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【観光】兼六園/金沢城公園

貴重な桜がほころぶ庭園が美しい国の特別名勝

岡山の後楽園、水戸の偕楽園と並び、「日本三名園」の1つに数えられる「兼六園」は、延宝4年(1676)、加賀前田家5代当主・前田綱紀(つなのり)によって最初の庭が造られて以来、代々の当主が手を加え、今の姿に整えられました。総面積約11.4haの林泉廻遊式庭園に植えられた樹木は、約160種8200本。ポカポカ陽気に誘われるように咲く花はもちろん、まぶしい新緑、グラデーションが美しい紅葉、風流な雪景色と、多様な木々や草花がいつ訪れても兼六園にしかない四季の美しさを感じさせてくれます。

1つの花に300枚の花弁をつけるケンロクエンキクザクラは一見の価値あり

桜が見頃を迎える春はソメイヨシノの開花に合わせて大勢の人が訪れ、特ににぎわう季節です。「日本さくら名所100選」にも選ばれており、約40種類400本以上の桜が人々を魅了します。なかでも1つの花に300枚の花弁をつけるケンロクエンキクザクラは、この桜を一目見ようと訪れる人もいるほど。ほかにも、ケンロクエンクマガイ、アサヒザクラ、フクザクラなどの銘木や、その優雅な美しさからヨウキヒと名付けられた桜も見逃せません。金沢地方気象台によるソメイヨシノの開花宣言後、5日目から約1週間にかけては無料開園とライトアップが行われ、昼間とはまた違う艶やかな表情を見せてくれます。

重要文化財の歴史的建造物など見どころが盛りだくさん

兼六園に隣接する「金沢城公園」は、加賀百万石前田家の居城であった金沢城が一般に公開されている歴史的空間。ぜひ兼六園と併せて訪れたい、金沢市そして石川県のランドマークです。2008年、城内の鶴丸倉庫が国の重要文化財に指定され、金沢城も国指定史跡に。2010年には金沢城の実質的な正門である河北門が再建され、内部が公開されています。ほかにも、重要文化財に指定されている「石川門」「三十間長屋(さんじっけんながや)」といった歴史的建造物や2001年に120年ぶりに復元された金沢城のシンボルともいえる建物「菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓(ひしやぐら・ごじっけんながや・はしづめもんつづきやぐら)」など、見どころが盛りだくさん。園内を散策していると時間がたつのも忘れてしまいそうです。

DATA

■兼六園/金沢城公園(けんろくえん/かなざわじょうこうえん)
電話/076-234-3800(石川県金沢城・兼六園管理事務所)
住所/兼六園:石川県金沢市兼六町1
   金沢城公園:石川県金沢市丸の内1-1
交通/JR金沢駅からバスで約15分、バス停兼六園下・金沢城下車、徒歩1分。小松空港から車で約45分
料金/兼六園:入園大人(18歳以上)320円、小人(6~17歳)100円
金沢城公園:入園無料(菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓・橋爪門の内部見学は別途入館料320円)
営業時間/兼六園:7~18時(10月16日~2月末日は8~17時)、時雨亭は9時~16時30分(最終入亭16時)
     金沢城公園:7~18時(10月16日~2月末日は8~17時)、「菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓・橋爪門」、河北門、鼠多門、玉泉庵は9時~16時30分(最終入館16時)※毎日日没から21時までライトアップ
定休日/無休
駐車場/なし

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【飲食・ショップ】一笑

ほうじ茶の新たな楽しみ方、可能性を提案する専門店

スタイリッシュに改装された町家から漂う芳ばしい香り。ひがし茶屋街にある「一笑」は、ほうじ茶に特化した専門店です。文久3年(1863)創業の日本茶専門店「丸八製茶場(まるはちせいちゃじょう)」の直営店で、金沢市を中心に昔から石川県民に親しまれてきた加賀棒茶(かがぼうちゃ)の老舗が「香る、あじわう、つながる」をコンセプトに、ほうじ茶の新しい楽しみ方を提案しています。

金沢発祥・香り高い「加賀棒茶」をいただく

そもそも加賀棒茶とは、茶の茎を焙煎したほうじ茶のことで、金沢が発祥の地と言われています。石川県内では数十社が独自の製法で棒茶を自家焙煎し、その香りや味を高め合っています。一般的にほうじ茶は、二番茶、三番茶などの茶葉を焙煎することが多いのですが、丸八製茶場では一番摘みの良質な茎を使用しており、浅く焙じて引き出した旨みが自慢です。

1階の喫茶スペースでは、定番の「献上加賀棒茶」や「季節のほうじ茶」などのほうじ茶(各800円※干菓子付き)と、季節の菓子(400円)を味わうことができます。香りや風味が少しずつ異なるので、飲み比べをするのも楽しそう! カウンターから眺められる、スタッフがお茶をいれる所作にもぜひご注目を。

こだわりのほうじ茶はおみやげにオススメ◎

また、同じく1階のショップスペースでは献上加賀棒茶をはじめ、こだわりのほうじ茶が並んでいるので、自分用に、おみやげにと、ショッピングを楽しめます。商品選びに迷ったらスタッフに尋ねてみましょう。それぞれの商品の特徴はもちろん、お茶のおいしい入れ方などもレクチャーしてくれます。さらに月替わりでさまざまな作品展を開催しているギャラリーがあるほか、2階には日本茶を飲みながらコミュニケーション空間として誰でも利用できるコワーキングスペース(1人1時間550円)も併設しています。

中庭や木虫籠などをうまく再利用し、元お茶屋の残り香が漂うスタイリッシュな店内で、ほうじ茶のおいしさ、奥深さに開眼すること必至です。

DATA

■一笑(いっしょう)
電話/076-251-0108
住所/石川県金沢市東山1-26-13
交通/JR金沢駅からバスで約7分、バス停橋場町下車、徒歩5分。小松空港から車で約40分
営業時間/12~17時(LO 16時30分)
定休日/月・火曜(祝日の場合は水曜)
駐車場/なし

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【観光】志摩

藩政時代のお茶屋が金沢の“粋”を今に伝える

金沢随一の観光地であり、金沢散策必訪エリアの筆頭である「ひがし茶屋街」。加賀藩がこの周辺に散らばっていたお茶屋を集めて町割りしたエリアで、現在この茶屋街は国の重要伝統的建造物群保存地区となっています。「志摩」は、このひがし茶屋街で文政3年(1820)に創建され、江戸時代からこれまで手を加えられることなく、当時のままに残る建物として国の重要文化財に指定されており、学術的にも価値ある文化遺産として高く評価されています。そのため見学の際は、文化財保護の観点から手荷物は最小限での入館がルールです。ご注意を。

当時のままに残された芸妓さんの遊芸の場

お茶屋は2階が客間で、お客さまが床の間(上写真:前座敷)を背にして座ると、その正面の「ひかえの間」が演舞の場となり、ふすまが開くと同時に艶やかな芸妓さんの遊芸が披露されます。押し入れや物入れなどはなく、あくまでも遊芸を目的とした造りが特徴です。ほかにも、紅殻(べんがら)色の壁に春慶塗りの違い棚が調和した格調高い「ひろま」や、館内で唯一漆がかかっていない落ち着いた白木造りの「はなれ」など、艶やかな芸妓さんたちの息遣いがそこここに感じられます。

奥のお茶室で庭を眺めながらお抹茶をいただく

1階には、女将さんの部屋として使われていた「奥の間」や帳面をつけていた「帳場」のほか、囲炉裏、石室(いしむろ)、井戸、台所などが創建当時のまま残っていてお茶屋さんの舞台裏が垣間見えます。奥のお茶室「寒村庵」では、庭を眺めながらお抹茶をいただくことが出来ますので、休憩に立ち寄ってみるのはいかがでしょうか。(生菓子付き700円、お干菓子付き500円。入館料別途)

DATA

■志摩(しま)
電話/076-252-5675
住所/石川県金沢市東山1-13-21
交通/JR金沢駅からバスで約7分 、バス停橋場町下車、徒歩4分。小松空港から車で約40分
料金/一般500円、小・中学生300円
開館時間/9時30分~17時30分(12~2月は~17時)
定休日/無休
駐車場/有料15台(東山観光駐車場)

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【観光】いしかわ生活工芸ミュージアム 石川県立伝統産業工芸館

伝統の美と技、精神が宿る伝統工芸品の数々

「いしかわ生活工芸ミュージアム 石川県立伝統産業工芸館」は、加賀友禅、九谷焼、輪島塗、金沢箔など、多岐にわたる石川県内の伝統的工芸品36種類をまとめて見ることができる唯一の施設です。常設展示では、「衣・食・住・祈・遊・音・祭」とテーマを分け、それぞれに属する工芸品を制作工程とともに紹介・展示し、その美しさについても解説しています。

例えば、食器から茶道具まで、食にまつわる工芸品が展示されている「食を彩る美」では、「加賀の美意識を支える 食にまつわる器あれこれ」と題し、輪島塗、山中漆器、金沢漆器、九谷焼、珠洲(すず)焼、大樋(おおひ)焼、茶の湯窯などを展示。「衣・食・住」のテーマで展開する第1展示室には、目にしたり聞いたりしたことのある工芸品も多く、その美しさを再確認できます。

第2展示室では、石川県の風土に根づいた信仰や文化に関連した伝統工芸品を紹介しています。「祈・遊・音・祭」のテーマに沿って、石川の婚礼に不可欠な加賀水引細工、郷土玩具の加賀人形、全国屈指の生産量を誇る和太鼓、奉納花火を起源とする能登花火などを展示。石川県の伝統的工芸品の幅広さに驚かされます。

ワークショップや伝統工芸士による制作実演、体験プログラムも!

常設展示以外にも、伝統工芸の「いま」を展示・紹介する企画展が定期的に開催されています。企画展ごとのワークショップや、土・日曜、祝日には伝統工芸士による制作実演、体験プログラムも。「伝統」と聞くと敷居が高いように思えますが、実際に見てその世界に触れると、グッと距離が縮まり親近感が湧きます。

1階のミュージアムショップでは、石川県の伝統的工芸品を販売中。伝統を守りながらも現代風にアレンジされたユニークな工芸品揃いで、企画展と連動した作品も並びます。おみやげ選びに、ぜひのぞいてみてください。

DATA

■いしかわ生活工芸ミュージアム 石川県立伝統産業工芸館(いしかわせいかつこうげいみゅーじあむ いしかわけんりつでんとうさんぎょうこうげいかん)
電話/076-262-2020
住所/石川県金沢市兼六町1-1
交通/JR金沢駅からバスで約15分、バス停出羽町(でわまち)下車、徒歩すぐ。小松空港から車で約40分
料金/入館260円、65歳以上210円、18歳未満100円
営業時間/9~17時(最終入館16時45分)
定休日/第3木曜(12~3月は毎週木曜日。祝日の場合は開館)
駐車場/12台

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伝統工芸見学や体験に使える旅行クーポン

「JTBふるさと納税旅行クーポン」は、JTBの国内旅行代金の支払いに利用できます。宿泊予約とあわせて、航空機・新幹線・列車等の交通にも利用できるので、とても便利。お近くのJTB店舗やJTB旅の予約センターで、旅行の相談をしたうえで申し込めるから安心です。
金沢の伝統工芸ペア体験利用券付きや、金沢市内1日フリー乗車券付きなど、金沢市ならではのチケットとセットになったものもあるので、ぜひ、金沢市へ寄付をして、歴史と文化の香りを感じるおとなの旅時間を楽しんではいかがでしょうか。

金沢市への旅行に使えるクーポン

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※掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。変更される場合がありますので、おでかけの際は事前にご確認ください。
※掲載の料金はすべて取材時点の税込料金です。
※宿泊料金は1泊1室2名様ご利用時の1室料金です。