2025/03/14 (金) 13:26
藤枝オーガニックビレッジ

市長の言葉
本市は、古くから茶の集散地として栄え、茶を基幹産業とした農業振興を展開しており、現在では、数多くの生産者が茶や水稲などの有機農業に取り組んでいます。
国が掲げた「みどりの食料システム戦略」や「藤枝ローカルSDGs」の実現に向け、藤枝市有機農業実施計画に基づき、既存技術の横展開や革新的なイノベーションを起こすことで、環境に配慮した持続可能な有機農業を地域ぐるみで推進します。
私は、この宣言を契機に、市民の意識や行動の変化を促し、安全で安心な有機農産物が消費者から選ばれる食材となるよう、生産から消費まで一貫したサイクルの実現に向け、強い信念と覚悟を持って、ここに「オーガニックビレッジ宣言」をします。

オーガニックとは
化学的に合成された肥料・農薬や、遺伝子組み換え技術を利用しないことを基本として、農業生産による環境への負荷をできる限り減らした農業のこと。
※病害虫などにより農産物に重大な損害が急迫していて、他に防除する手段がない場合は、日本農林規格(JAS規格)で天然由来のものを中心とした農薬の使用が認められています。

藤枝市オーガニックロゴ
ロゴは藤枝市の有機農業の象徴であるお米とお茶のモチーフをシンボルとし、右下には後世にも残していきたいお茶畑、豊かな水源、土壌をデザインとしました。
稲穂の形は、藤枝市の「F」の形を表現しています。

藤枝市の取組
藤枝の有機農業の生産者
1.松下明弘さん(有機米生産者)
私の家では、先祖が農地を開墾してから300年近く農家を続けており、現在有機米を栽培しています。
雑草対策に力を入れ、雑草を発芽させないことに着目し、酸素と光を遮断して雑草を生えにくくさせています。
農薬を使わず工夫していくことで、田んぼには多くの生き物が集まって生態系が豊かになり、病害虫に負けない健康な稲になりました。(松下さん)

これまでの苦労
かつての藤枝の田んぼでは、農薬散布を続け自然の生態系が保てなくなり、それまで存在していた有機的循環が断たれていました。
それにより無駄な化学肥料に頼らざるを得なくなり、さらに有機循環に負荷がかかっていました。
松下さんはこの悪循環を絶ち、自然の生態系を復活させることに成功しました。
有機米づくりへの思い
土地と共存していくためには、土や水を汚していたら人はその土地で生きていくことが難しくなります。
いかに人間が余分なことをせずに植物が本来持っている生命力をどれだけ引き出せるかであり、生命力を妨げてしまうような農薬や化学肥料は必要ありません。(松下さん)
松下さんの有機米カミアカリはこちら
胚芽の大きさが通常の3倍余ある巨大胚芽米稲品種。
1998年藤枝市の有機米生産者、松下明弘さんが自身が栽培していたコシヒカリの田んぼで偶然発見した、巨大胚芽の突然変異を約10年かけて育成した稲品種です。
大きな胚芽を活かすため玄米食専用品種として販売。
プチプチとした食感とトウモロコシのような香りが特徴です。
2.杵塚民子さん(有機茶生産者)
私は代々続く茶農家で育ち、1976年に先代の父が無農薬栽培に切り替え、お茶作りを始めました。
幼木から除草剤を使用せず、茶畑の畝間にある雑草を一本一本手作業で取り除く苦労があります。
また、有機茶の加工も行っており、煎茶のほかに紅茶も作っています。紅茶の加工では、ウンカという虫を活用して甘い香りを引き出しており、自然環境と生物多様性に寄り添ったお茶作りをしています。(杵塚さん)

杵塚さんの有機茶はこちら
長年の有機栽培の歴史や普及活動の功績が認められ、世界緑茶協会より2021年O-CHAパイオニア特別大賞を受賞しました。
静岡県藤枝の山間部で栽培期間中、農薬・化学肥料を一切使用せず栽培しました。
甘みと渋みのバランスが良く、深い味わいが特徴です。
学校給食などを通して次世代につなぐ
学校給食などに有機農産物(茶、米)を提供
令和5年度から全市立小中学校及び市内の幼児教育・保育施設に有機農産物の提供を行っています。また、有機農産物の提供にあわせて、生産者が学校等を訪問し、オーガニックの特徴を始め、栽培の苦労や想いを子どもたちに直接伝えるなど、食育事業も行っています。

藤枝市の有機茶・有機抹茶はこちら
今後の取組
藤枝市オーガニックシティ推進協議会
藤枝市オーガニックシティ推進協議会は、これまで先進的にオーガニックに取り組まれてきた有機農家や関係団体を組織化したものです。有機農業に長けた農家や団体など、多種多様なメンバーが参画することで、行政のサポートおよび方向性を明確化する役割を担っています。
